綱島理友「ユニフォーム物語」を購入
本宅の方にちょろっと書きましたけど、土曜日、会社の先輩に誘われて千葉マリンに行ってきました。結果はファイターズの完敗。またしても渡辺俊介投手(ロッテ)の好投を見る羽目になりました。いや、俊介投手はいいですよね。いま貴重なアンダースロー投手ですし。今週の『週刊ベースボール』の巻頭インタビューはこの人でしたが、おもしろかったですよ。
それはさておき、試合がさっくり終わって東京駅に戻り、先輩と別れたあと、ぶらりと本屋に行きました。またしてもアホみたいにガサガサと大量の本を買ってしまったのですが、その中で、今回いちばんおもしろいと思っている本はこれ。
「プロ野球のユニフォームの歴史を網羅する」というテーマで、チームごとに、昔から今までのユニフォームの変遷をイラスト入りで示しています。定価7000円+税と、ちと値が張るんですが、パラパラ見ているだけでも十分おもしろい。これは、「日本プロ野球史」の基本書と言ってもいいんじゃないかと思いますよ。
読んでいると、ユニフォームがいかに「単なる見た目だけのモノ」でないか、ということを考えさせられますね。もちろん、単に「カッコいい」「カッコ悪い」という感想を持つ場面はしばしばあるし、それはそれで重要だからこそ、各チームともそれなりにカッコいいユニフォームを作ろうとするのだとは思います。ですが、それだけで終わるのならば話は簡単です。問題は(というか本当におもしろいのは)、ユニフォームのデザインの中に、そのチーム(や親会社)の姿勢が象徴的に表現されている、ということです。
いまのオリックス・バファローズのユニフォームには、それがややグロテスクな形で表れているような気がします。ご存じの通り、オリックス・バファローズのユニフォームは、はじめは旧オリックス・ブルーウェーブのデザインをそのままに、ロゴだけ「Blue Wave」を「Buffaloes」に付け替えたものでした(現在でも神戸球場ではそちらを使っています)。しかし、そのことが(私を含む)旧近鉄バファローズのファンなどから強い反発を受けたためか、大阪ドームバージョンのユニフォームが別途作られました。ところが、この大阪バージョンこそ、実に奇妙な代物だと思うのです。
大阪ドームバージョンのユニフォームは、新しいBsのロゴを配しています。この新ロゴは、「バファロー」の鋭い角をモチーフにデザインされ、さらに文字のエッジにシャープな印象を与えました。
というのですが、背番号のフォントはブルーウェーブのデザインそのまま(イマドキ?風なすっきりしたフォント)であり、クラシックな印象の新「Bs」ロゴとはまったくマッチしていません。「まるで一枚の中で喧嘩してるみたい」(私の友人のブログより)ですし、もっと言えば、選手の身体が「すっきりした数字=オリックス」と「Bsロゴ=バファローズ」によって左右に引き裂かれているようにすら見えます(少なくともぼくには)。上のリンク先でモデルになっているのが旧近鉄の大西選手(本当に「最後の『近鉄の星』」と言っていいくらいの、「近鉄らしい」フルスイングが身上の選手)であるというところに、ぼくはやりきれないものを感じます。
だいぶ話がグダグダになってきたなぁ。要するに、ですね。オリックス・バファローズは「新生」とか言っていますが、その「新生」という意識が、ユニフォームのデザインからは感じられないってことです。選手はすべての試合でそのユニフォームを着用してプレイするわけですから、「単なる見た目だけ」の問題じゃないと思うんですよね。現実に、ブルーウェーブと何ら変わらないユニフォームがイヤでオリックスの応援をやめたという人は、しばしば見かけますし、私もその一人です。
そんなことを思いながら、この『ユニフォーム物語』を見ていると、戦時中の「国防色」デザインなども出ていたりして、いろいろと思うところがあるんです。ほんと、おもしろい。
あと、最後にこの本の前書きでちょっと感心したところをご紹介。
本書を編集する過程で、「自分は贔屓球団にしか興味がないので、1球団ずつまとめて本にしてほしい」という意見を何人かの方から聞きましたが、それはいちばんやりたくないことでした。(中略)とくに球界再編という問題が目の前にある現在、1球団だけをまとめても、それはあまり意味のないことだと理解していただきたいと思います。実際、プロ野球の歴史をちゃんと知ろうとするならば、1球団の枠だけを見ていたのでは分からないことがたくさんあります。
うんうん、という感じです。自分が応援しているチームが1つあったとして、そのチームがその時代にどのようなチームと共存していたか、ということも意識しなくてはならないですよね、本来。