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2010年・新春山梨ポタリング

ちょうど昨年の今頃、めちゃくちゃ寒い中を山梨県に小旅行してきたわけですが(旅行記1)、今年もまた行きたくなって、ふらっと行って参りました。冬の山梨、いいですよ。富士山きれいだし。って、まあ毎日のように見てる山なんですけどね(笑)。

朝6時過ぎの電車で出発、富士駅身延線に乗り換えて、9時半頃に甲府駅に到着。そして中央線、小淵沢行きの各停に乗り換えます。前回のポタリング時も同じ電車に乗り、竜王駅で下車しましたが、今回は小淵沢のひとつ手前、長坂駅で下車しました。昨年は駅前に相当雪が積もり、それが凍結していましたが、今年はそんなでもありません。10時過ぎ、ここで自転車を組み立てて出発です。

この付近の中央線は、七里岩台地とよばれる細長い台地の上を走っています。そのため、駅から移動しようとすると、どちらに向かうにしても必然的に谷を越えなくてはなりません。そんなわけで、長坂駅を出発すると、まずは一気に坂を駆け下り、川を渡って、今度は急坂を登っていきます。正月休みのダラけた生活ですっかり身体がなまってしまい、朝イチからかなりバテました……。

途中一回だけ休みを取って、フラフラになりながら、清春白樺美術館に到着です。後ろの甲斐駒ヶ岳がきれいです。
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今年、2010年は『白樺』発刊から100周年ということで(まあ韓国併合から100年ということでもあるんですが)、この美術館では、「白樺派の愛した芸術家展」という企画展示をやっていました。岸田劉生中川一政らの作品が多く展示されていたほか、美術館を設立した吉井長三氏宛に『白樺』同人から送られた書簡なども展示されていました。中には、高村光太郎が吉井氏にパトロン探しを依頼する手紙などもあり、近代美術史的にも野次馬的にも、かなり興味深く見ることができました。ちょうど、倉敷の大原美術館でも「白樺派誕生100年―『白樺』と大原美術館」という企画展をやっていて、それを見てきたところでもあったので、しっかり楽しめました。

この美術館は、かつて小学校だった場所を買い取って建てられたものなのだそうですが(なので桜の木がたくさん植わっていて、花見スポットとしても有名なんだそうです)、周囲の景色が非常にきれいで、建物の雰囲気とよくマッチしています(ちなみに写っている建物は美術館ではなく、「ラ・リューシュ」という付設の貸アトリエ)。
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また、敷地内には「ジョルジュ・ルオー記念館」という名のこぢんまりした礼拝堂もあります。近づくと、自動演奏されているパイプオルガンの音が聞こえてきます。中に入ると、ルオー自身が作ったステンドグラスや、ルオーによって彩色されたキリスト像などを見ることができます。ひんやりとしつつも静かで落ち着いた空間です。
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そのほか、梅原龍三郎のアトリエなどなどをぐるっと見て回り、小腹が空いたので、レストランで昼食にしました。「甲州地鶏のチキンカレー」、なかなかの美味でした。
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続いて、すぐ近くにある長坂郷土資料館を見学。かつてこの地で盛んだった養蚕についての特別展示が行われており、これまた興味深く見ることができました。また、かつてスイッチバックだった当時の長坂駅の模型があったりして、入館料200円の割にはかなりおもしろかったと思います。

今度は長坂駅と逆方向に向けて、台地を下っていきます。こちらもかなりの急坂でしたが、初めての道で路面状態もよく知らないので、ブレーキ多用でスピードを抑えながら下っていきました。下りきったところからさらに軽くひと山越えて、次の目的地、台ヶ原宿に着きました。ここは甲州街道の宿場だったということで、古い町並みがよく残っています。写真上側の「金精軒」は、「信玄餅」で有名な和菓子屋。「信玄餅」については「どっちが元祖か論争」があるようですが(Wikipedia「桔梗信玄餅」項を参照)、もうひとつの圧倒的に有名な店のものに比べると、少なくとも味としては、こちらの「信玄餅」のほうがおいしいと感じました。それから、写真下側の「七賢」は、日本酒の蔵元です。明治天皇の巡幸時に行在所となったそうで、天皇が宿泊した部屋も無料で見学させてもらえました。
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ここで少々時間を費やしすぎたので、次はやや急ぎ気味に自転車をこいで、甲州街道を南下していきました。車通りが多く、大型車も頻繁に通るので、歩道を走ったのですが、コンクリートの継ぎ目が多くて走りづらい道でした。数キロ走ったところで左折し、再び七里岩台地を登ります。歩くのと同じくらいではないか、というノロノロぶりながらも休息なしで登り切り、ようやく日野春駅に到着。建築年次などは確認しませんでしたが、ちょっと味のある駅舎でした。
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日野春駅で30分ほど待って電車に乗り、次は竜王駅で下車。再び自転車をとばして、閉館直前の山梨県立美術館に滑り込み、「美しきアジアの玉手箱(シアトル美術館所蔵日本・東洋美術名品展)」という特別展示を見ました。まぁ、個々の展示品はそれなりにおもしろいものもあったんですが、全体としてはイマイチ。いわゆるニホンのデントーゲージュツの品々を寄せ集めると、どうしてこんなに骨董趣味になっちゃうんでしょうかね。こんなことなら、特別展示は無視して常設のミレーを見に行っておけばよかったです。

……と後悔しつつ、自転車にまたがって甲府駅前へ。電車の時間をにらみつつ、おきまりの「小作」でほうとうを食べました。ま、無難においしいですよね、ここのほうとうは。でも、何年前だったかにR52をドライブしてて、ふらっと入った小さな食堂で食べたほうとうの味に比べると、どうしても見劣りしてしまうんですよね……。いや、でも、まずいわけじゃないですよ(汗)
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てなわけで、甲府駅発18:45の特急に乗って、帰宅したのが21時過ぎ。甲府までの所要時間が、行きは各停だけで3時間、帰りは特急使って2時間半。近いような遠いような微妙な距離ですが、「休日乗り放題きっぷ」を使えば気楽に行けるところなので、またいずれ改めていくことでしょう。