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延吉留学日記・第二週(7)

20100806 金曜日 曇りのち晴れ

長白山(白頭山)への一泊旅行に出かける日である。本来の予定では、午前中に授業をして、その後に出発するはずであった。しかし天気が崩れるかもしれないとのことで予定を早め、朝から出発することになった。

集合時間は7時10分。食堂で朝食を食べていると間に合わない時間なので、水とレモンティーだけ購入する。アジュンマに「これから長白山に行って来ます」と伝えると、「えっ、いつから?」と驚いた様子。「7時10分に集合なんです」「夜の?」「いや朝です。もう出かけます」「じゃあ、いつもあっちで昼ご飯を食べている20人の学生は来ないのかしら?」「ええ、みんな一緒に出かけるので来ないと思います」「聞いといてよかったわ、ちゃんとわかってから準備しないと、作っても全部捨てちゃうことになるから」といった会話。留学生管理課の職員の方、前もってアジュンマに連絡してはいなかったようだ(やっぱりな、という感じだが)。

時間になり、バスに乗り込んで、7時40分頃出発した。延吉駅の東のガードを越えている時、「あっ、去年もこの道に来たんだった」と思い出した。ブログに旅行記を書くつもりで放りっぱなしにしてある昨年の延辺旅行で、運転手付きの乗用車(なんとアウディ!)を1台チャーターして長白山に向かった時に通った道なのである。少し懐かしく感じた。そこから先、昨年通ったのとまったく同じルートをバスは走っていく。昨年朝食を取った道端の店もすぐにわかった。今にして思えば、あの朝食ではずいぶんぼったくられたんだなあ、帰国してから気づいたんだけど、と一人苦笑した。

途中で一回トイレ休憩を挟み、長白山がかなり近づいてきたところで、二道白河という小さな街のはずれにある「江原道朝鮮族飯店」という店に入り、昼食となった。じつは昨年も「江原道朝鮮族飯店」という店で昼食をとったのだが、今回入った店はその分店らしく、看板の端に「二部」と書いてある。料理は野菜が中心で、この点も昨年と同様であるような気がする。昨年の私は、少々腹の具合がよくなかったこともあり、多少口に合わないと感じるところもあったのだが、今回は非常においしく食べることができた。もっとも、韓国人学生たちの多くには口に合わないらしく、さっさと食事を終えて外に出て行く人が多かった。
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ここから1時間弱で、長白山山門に到着した。今日はこれでホテルに移動しておしまい、と私は思っていたのだが、じつはそうではなかった。留学生管理課職員の方が説明するには、「これからいったんホテルに行って荷物を置いてから、天池を見に行って、そのほかにも見物をしましょう」とのこと。そんなん、いつ決まったんだ……?
というわけで、とりあえずホテルに移動。山門の中に入り、遊覧バスに乗り換えて、長白瀑布という滝のすぐ近くにあるホテルに到着。部屋の割り当てはまったくきめられておらず、学生同士で適当に割り振って決める。人数割りもバラバラで、10人部屋や7人部屋もあれば、2人部屋もあるという状態。私はKDくんと2人部屋になったのだが、後で聞くと10人部屋は結局4人で使ったらしい。なんじゃそら。

さて、荷物を置いたらすぐに再出発。いよいよメインイベント、天池を見に行くことになる。天池には、すぐほとりまで歩いて行ける階段のルートと、車で上って上から眺めるルートとがあるらしいのだが、前者は昨年も今年も通行止めで行くことができない(理由は不明)。そこで必然的に、後者のルートで行かざるを得ない。このルートは、専用の四輪駆動車に乗り換えて行くわけだが、昨年は、その四駆乗り換え待ちの列が異常に長かったために、天池を見ることをあきらめたのであった。

今回は、四駆の乗り換え場所に着いてみると、新しく乗り換えゲートができあがっていた。その中に入ると、人はほとんど並んでいない。ほぼわれわれ延大の団体だけである。なので、スムーズに乗り換えることができた。私が乗ったのは四駆ではなくワゴン車だったのだが、このワゴン車の運転がメチャクチャに荒い。私は窓際に座っていたので、つかむ場所があってよかったのだが、隣に座っていたSKさんは真ん中席で、持つ場所がない。小柄な人で、振動で吹っ飛んでしまいそうな気さえするので、腕を組んで乗っていった。

四駆では500メートル以上の標高差を上り、頂上のすぐ下まで連れて行ってくれる。景色はものすごくきれいなのだが、やはり風が冷たい。一人の韓国人学生がうっかりTシャツ1枚でここまで来てしまい、寒さに震えているので、ちょうど持っていた雨合羽を貸してやった。

駐車場から歩いて10分ほど上ると、もう頂上だ。あの向こうに天池があるんだ、とどきどきしながら上っていくと、ついに見えた。見たい見たいと念じ続けてきたので(<本当に)、感動のあまり叫び声をあげてしまった。向こうの北朝鮮側の岸まではっきりと見える。ほんとうに美しい湖だ。
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この場所には約1時間滞在して、再びワゴン車で下っていく。今度は3班の老師(漢族の男性のほう)と二人連れだ。老師は、乗り合わせた他の観光客と、「大学生か」「留学生を連れてきてます」「どこの大学だ」「延辺大学です」「それは地元の大学か」といった会話をしていた。その人たちの発音が妙に聞き取りやすいなあ、と思っていたら、後から老師に尋ねたところ、彼らは台湾から来た人々だった、とのこと。これまで意識したことはなかったが、やはり日本人には、捲舌音の少ない発音の方が聞き取りやすいのかもしれない。

その後、小天池、緑淵潭、といった見物スポットを巡り、最後のシメに、長白瀑布に行った。ここは坂を上らなければならないので、途中で息が上がってきた。なんでここまでして行かなアカンのか、とぼやいてはいたが、実際についてみるとやはりきれいな景色だ。すでに日が傾いていたので、刻々と変わる山の様子もおもしろい。
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ホテルに戻ったら、部屋に帰るいとますらなく、直接食堂に招き入れられて夕食。今日はビールもなく、あっさりと終わる。
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食後、温泉に入ったが、前日のチムジルバンがきれいな施設であっただけに、清潔とは言いかねる施設で少々辟易した。その後、部屋でくつろいでいたら、SKくんがやって来て、星がものすごくきれいですよ、と教えてくれる。外に出てみたら、本当にものすごい数の星が見える。あまりに星がたくさん見えすぎて、カシオペア座さえ探しづらかった。銀河がこんなにはっきり見えたのは初めてだ。

とはいえ、長時間見ていると身体が冷えてくる。部屋に戻って『聴読中国語』のリスニング練習を始めたが、眠気が襲ってきたので寝ることにした。もっとも、私よりも先にKDくんはベッドの上で気を失っていたのであるが。