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延吉留学日記・第五週(3)-1

20100823 月曜日 晴れ/雨

いよいよ延吉を離れる日が来た。本当に名残惜しい。昨日は雨がかなり強く降っていたが、今日は一転してよい天気だ。

体調は一晩寝てかなり回復し、昨日ほど腰の痛みを感じることもなくなった。朝は7時過ぎに起き、顔を洗って食事に行く。食堂のアジュンマに、今日出発するのでこれが最後の食事だ、と伝えたら、おまけしてくれて5元で食べさせてくれた。しかもスイカのおまけ付き。1ヶ月間で数えるほどしか外食をしていないから、ここのアジュンマには本当によくお世話になった。次に延吉に来る時はおそらく観光旅行だと思うが、それでもここに食事をしに来てもよいと思うくらいだ。
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食後、最後の荷造りを進める。1ヶ月お世話になったこの部屋ともお別れだ。最初はがらんどうで何もない部屋だと思っていたが、住んでみるとやはり愛着がわいてくるものだ。

8時半、いったん留学生管理課に出向き、今日の12時15分の飛行機に乗る予定であることを伝えに行く。すでに2人の人に予定を伝えてあるのだが、これまでの経験から、この大学の人たちは相互の情報共有がまるでできていないことがわかっているので、改めて伝えに行ったわけだ(するとやはり、私の出国予定を把握できていなかったことが判明した)。その場で空港までの移動について相談し、延大の学生さんに空港まで同行してもらうことになった。その学生さんは王さんという漢族の人だが、朝鮮語が専攻とのことで、朝鮮語を非常に上手に話す(ぜったい私よりもうまい)。なので私はずっと朝鮮語でやりとりをしており、会話をする機会も多かった人だ。その王さんが、10時半に寄宿舎前まで迎えに来てくれるということになった。

出発時刻が固まったので、これで出発までの段取りを考えられるようになった。部屋に戻って、昨日の日記をつける。いろいろあったので長くなってしまい、意外に時間がかかってしまった。とりあえず文章だけをブログにアップロードし、PCを閉じて片づける。これで荷造りはすべて完了、ということになる。

10時を回った。出発予定をまだ話していなかったSKさんに挨拶に行く。彼女はずっと同じクラスで勉強してきたわけだが、私が老師の指示をちゃんと聞き取れなかったときに助け船を出してくれたりして、いろいろとヘルプしてもらった。それだけではない。ともすればだらけがちなクラスの雰囲気の中で、私一人だけでまじめに予復習を続けられたかどうかは、非常に怪しい。私よりも明らかに高い実力を持っている彼女がきちんと予復習をしていて、学習した表現を会話の中できちんと使いこなしているのを聞いて、「実力がある人があれだけやっているんやから、オレはもっとやらんと」と、常々思わされていたのだ。それがあったからこそ、1ヶ月間のハードな勉強も続けられたのではないかと思う。だから、彼女には本当に感謝している。

というわけで、挨拶に行って感謝の意を伝えてきたわけだが、彼女は40%くらい中国語混じりでの会話であった。私はとっさの中国語が出るレベルには到達できていないので、すべて日本語である。不思議な会話であった。

続いて、今度はSKくんの部屋に行く。彼は、日本の大学の夏休みがまだ1ヶ月残っているということで、もうしばらく延大に居残る予定である。そこで、私が使い残した洗剤や、1ヶ月使っただけで捨てるほかない湯沸かし器、ドライヤーなどを彼に譲ろうと思い、それらをとりまとめて持って行ったのである。

で、部屋に行ってみて、驚いた。SKくんは韓国人のサンギ(@イケメン)と同室だったのだが、部屋の使い方について折り合いが悪くなり、サンギとまったく口をきかなくなってしまったらしい、とは聞いていた。サンギは昨日の朝に韓国に帰って行ったので、部屋はSKくん一人のものになったわけだ。そして部屋をのぞいてみたところ、サンギが口をきかなくなった理由が非常によくわかった。

部屋には、二つのベッドがそれぞれ壁沿いに置いてある。そして、その中間地点に、本来は机の上に置く棚が据え置かれていて、これが間仕切りになっている。その間仕切りを境にして部屋の半分だけが、本当に誇張抜きに、足の踏み場もなくものが散らばっている。いったい何が散らかっているのかもよくわからないくらい、あらゆるものが右に左に、上に下にと重なり合いつつ広がっているのである。だからSKくんは、昨夜からサンギが使っていたベッドで寝ているというのである。しかもそのベッドの上にも、すでにいくつかのものが散らばっていた。この「散らかし力」はすごいと思う。少なくとも私には真似ができない。聞くところによると、サンギは非常に几帳面な男だということだから、こらえかねたのだろう。間仕切りも、何日目かにサンギが置いたものらしい。そんな部屋にさらにモノを置いてくるのはアレな気もしたが、ほかに譲るあてもないので仕方ない(それにしても、あの部屋が1ヶ月後はどうなるのか、非常に興味がある)。

SKくんにも最後の挨拶のつもりで行ったのだが、話をしているうちに、彼も私を見送ってくれるという話になった。ありがたいことである。

いったん自室に戻り、荷物を持ち出して、いよいよ出発である。部屋の鍵を管理人のアジョシに預け、別れの挨拶をする。アジョシには、最後の最後で夜中に玄関を開けてもらって、迷惑をかけた(そのことには触れなかったが)。

《→→→つづきます》