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2009年6月・韓国旅日記(2)

第2日(06/05)

温陽温泉に泊まった目的は、ひとつはもちろん温泉に浸かることだったのですが、もうひとつは温陽民俗博物館を見ることでした(韓国語の公式サイトはこちら)。この博物館のことは、高崎宗司・編『増補版 韓国民芸の旅』(草風館、2005年)の中で知りました。

温陽観光ホテル近くの宿を出て、街の様子を見るついでに駅前の大通りを歩いてみました。それほど大きな街ではないものの、活気はある様子です。まずは温陽温泉駅から20~30分ほど歩いて、バスターミナルでこの日乗るバスの時刻を調べておき、再び20分ほど歩いて民俗博物館に向かいました。

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博物館に着いたのは、ちょうど開館時刻の9:00でした。窓口のお姉さんが出て来たところですかさずチケットを購入し、瓦葺きの立派な門をくぐると、中は公園のようになっていました。井戸の跡や石像・石碑などが配置された緩やかな坂道を上ると、民俗博物館があります。

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展示は、農業・漁業・祭り・両班(ヤンバン)の暮らし・宮中の生活など、多岐にわたっていて、かなり興味深く見ることができました。韓国(朝鮮)の人々の昔の暮らしぶりが、さまざまな道具とともに描き出されていて、理解しやすい展示になっていると思います。これは行った甲斐がありました。平日の朝なので館内はほとんど誰もおらず、私が展示品を見ているその後方で、係員のおじさんとおばさんがなにやら大声で口げんかを始めたのも、平日ならではかもしれません^^;

民俗博物館では薄い図録を一冊購入して、再び外の園内を散策しようと思ったのですが、ふと時計を見ると、もう時間があまりありません。そこで、急ぎ足で園内を軽く一周して、また歩いてバスターミナルに向かいました。すでに日が高くなっていてかなり暑かったので、市内バスに乗って移動しようと思ったのですが、しばらく待っても来る様子がなかったので、しかたなく歩いたわけです。またターミナルまで20分くらいかかりましたので、ここまでで5~6kmは歩いた計算になるでしょうか。

温陽の市外バスターミナルは、前日到着した高速バスターミナルのすぐ隣にありました。しかし、外観はぼろぼろで店舗もほとんど立ち退いており、工事用のネットが張られて解体寸前の趣です(どんだけすごい状態だったか、文章では伝わりにくいので、写真撮っとくべきでしたね)。本当にこのターミナルでよいのか、と最初(博物館に行く前に立ち寄ったとき)はとまどったのですが、意を決して建物内に入ってみると、ほとんどがらんどうでもぬけの殻状態ながらも、チケットは売られているし、奥のプラットホームからバスも発着しており、無事使われていることがわかりました。そういうわけで、二度目は迷わずターミナル内に入り、扶余(プヨ)行きのチケットを購入しました。

温陽から扶余へは、一般国道を通っておよそ2時間。前にも少し写真を出しましたが、唐辛子の産地である青陽(チョンヤン)を通過した際には、街灯をはじめとして、街のあちこちに唐辛子をあしらったオブジェやキャラクターを見かけました。そのほかにも、かなり懐かしい雰囲気の小さな街をいくつか経由しながら、のんびりのバス旅でした。車中では、乗車前に購入したキムパプ(のり巻き)をパクついて、これがこの日最初の食事でした。

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扶余は、百済の最末期の都だったところです。この街には、たしか1994年に一度来たことがありますので、約15年ぶりの再訪になります。扶余は、15年前はとてもひなびた街で、日本でいえば奈良県の明日香のような雰囲気だったのですが、久しぶりに再訪してみると、建物が増えて店も活気があり、かなり様子が変わっていました。とはいえ、バスターミナルの建物は15年前とおなじもののようで、場所も建物の形もまったく同じでした。日本人観光客も多いと見え、ターミナルの看板には「扶余市外のバスターミナル」という惜しい日本語表記も付いていました。

ターミナルを出ると、街の中心に当たる通りを横切って、定林寺(チョンニムサ)という寺の跡を横目に見ながら、国立博物館を目指します。定林寺は、いわゆる四天王寺式の伽藍配置(大門・塔・金堂が南北に一直線に並ぶ配置)の寺でしたが、木造の建物はすでに残っておらず、670年(だったっけ)の銘が刻まれた石塔だけが残っています。塀の外から寺址の敷地を見ると、石塔がよく見えました。塔の周りでは、発掘調査が行われている様子です。

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そして歩くこと、およそ10分。国立扶余博物館に到着しました。今年は韓国の博物館誕生から100周年とのことで、国立博物館は今年一年間入場無料、なのだそうです。そんなわけで、この扶余博物館も無料で見学することができました。

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扶余博物館のいちばんの目玉といえば、金銅製の大香炉でしょう。博山とよばれる伝説上の山をかたどった、博山炉とよばれる形の香炉です。たしか1995年くらいに発見されたものだったと思います。これは、じつに見事です。

そのほか、企画展示としては、「木の中の暗号 木簡」という展示が行われていました。こちらはかなり地味な展示だと言えますが、文字資料というのはなかなか面白いので、つい図録も購入してしまいました(かなり分厚く重いのですが……)。

今回の扶余訪問は、15年前に行かなかった場所に行く、ということがテーマです。国立扶余博物館もそうですが、もうひとつ、宮南池(クンナムジ)というところも前回行かなかった場所なので、こちらにも足を伸ばしてみました。

博物館から歩いて、約20分くらいだったでしょうか。正直なところ、うだるような暑さで参り気味だったのですが、なんとか到着です。ここは百済時代に作られた人造池を再現したところです。写真だと涼しげで趣がある、ように見えるかもしれませんが、実際には水がかなりドロドロで少々臭く、さらに池の周りにあるスピーカーからガンガン音楽が鳴らされており、お世辞にも快適とは言いかねる場所でした……。一見の価値はあるかもしれませんが、ムリに行く必要はないですね……。

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ということで、けっこう体力を使い果たしたところで、扶余見学は打ち切りにして、バスターミナルに向かいました。ここから本日第2の目的地、大田(テジョン)に向かいます。続きは、また改めて。